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【オクシズコラム⑯】民話の里をたずねて―伊勢ソーホーと"ひよんどり"―

大井川最上流部、

井川地区の名物といえば、井川メンパ。

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さまざまな大きさの井川メンパ。かつては丸いメンパだけでなく角メンパも作られていた。

       

曲げ物のお弁当箱です。

江戸時代の文献にも出てくるほど、

古くから井川の特産品として知られていたようですが、

この曲げ物にまつわる次のような物語が伝えられています。

    

  昔、井川の小河内集落に伊勢ソーホーという人物がやってきて、

  村に住み着き、曲げ物の杓(しゃく)を作っていた。

  村人たちは、

  なんとか杓を作る方法を教えてくれないだろうかと頼みこんだ。

  すると伊勢ソーホーは、

  村で"ひよんどり"という行事を行うことを条件に

  曲げ物の技術を村人たちに教えてくれた。

  これが今のメンパにつながる井川の曲げ物づくりのルーツである。

  今でも伊勢ソーホーのお墓が大切に祀られている。

    

小河内は、井川地区でも最奥部に位置する小さな集落で、

かつては金の採掘も盛んにおこなわれていました。

9 小河内集落で焼畑が復活.JPG

金の採掘には「ユリボン」をはじめとして

桶、柄杓など曲げ物の道具が必需品でしたので、

伊勢ソーホーの伝説は、

そうした背景があって生まれたものなのでしょう。

ごく近年まで柄杓をつくる技術が地元に伝わっていたようです。

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かつて小河内で作られていた柄杓

    

    

井川には、かつて

集落ごとに"法印(ほういん)さん"と呼ばれる

民間の宗教者(修験者)がいました。

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"法印さん"は呪術的な方法で

病気を治したり、畑の虫よけをするなど、

村人の求めに応じて様々な祈祷を行っていました。

    

そもそも山伏などの修験系の宗教者は、

山里から山里へ転々としながら様々な祈祷をし、

さらには暮らしに必要な技術を

村人に伝授するということも行っていたようなので、

伊勢ソーホーも遊行の宗教者として

何処からかやってきて、

小河内に土着した人物だったのかもしれません。

   

  

さて、

伊勢ソーホーが曲げ物の技術とともに村人に伝えたとされる

"ひよんどり"の行事(動画有)は、

今でも毎年正月1日の早朝に小河内の人々によって執り行われています。

   

元旦の朝、午前6時ごろ。

各家の主人が公民館に集まり、ひよんどりの行事が始まります。

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まずはウタイゾメ。

音頭取りの歌に続いて、村人が"ひよんどり"の役歌を唱和していきます。

   

ヒヨンドリの役歌には9つあって、

火伏せの唄を中心に、村の安泰や家の安全を祈るものなど

内容もさまざま。

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それぞれ歌う場所が決められていて、

独特の節回しで唱和していきます。

     

ウタイゾメを終えると、提灯片手に皆で村内の練り歩きに出発です。

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参列者が思い思いの唄を歌ったり、

     

途中、ネリコミといって村の辻などで奇声をあげて

身体や提灯をぶつけ合ったりしながら、

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最後は、「お井戸」で歌いおさめてこの行事を終えます。

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村で唯一の共同の水場である「お井戸」の水は、

一年中枯れることはなく、

かつては、毎日のように村の人々がやってきて、

生活に必要な水を汲んだり、洗濯をしたりする場所でした。

     

ひよんどり行事は、

そうした場所で村の安泰を願う唄を歌いおさめ、

一年をスタートさせるという

小河内の人々にとって、とても大切な行事だったのです。

     

ところで"ひよんどり"の語源は

「火踊り(ひおどり)」から来ていると考えられています。

    

かつては小河内のでも提灯ではなく、

松明をもって集落を練り歩いたと伝えられているように、

火をともなう行事でした。

    

同じ名称の行事は静岡県中西部に分布していますが、

伝えられている祭りの形は地域によって多様です。

男女一緒に輪になって、火を囲んで歌い踊ったり、

静岡県西部の山間地では、激しい所作を伴う民俗芸能として

全国的にも有名な"ひよんどり"行事が受け継がれています。

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川名のヒヨンドリ(浜松市北区)

    

     

    

小河内の"ひよんどり"は、

それと比べてしまうと実に素朴な行事ですが、

その伝承の中に、地域が歩んできた道程を想起させる

大変興味深い行事であるといえるでしょう。

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玉川地区に「森のつぐみ」オープン!~オクシズの木のぬくもりを感じられるお店~

オクシズ玉川地区に

木のぬくもりを感じられる

かわいいお店がオープンしました!

「森のつぐみ」

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杉山製材所の一角。

店主が自分で改修をてがけた

こだわりのお店です。

お店の中は、

食器、インテリア雑貨、アクセサリーなどなど

かわいらしい木工品でいっぱい。

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作品の素材についても、

いろいろ丁寧に教えてくれたりして

ゆっくり楽しめます。

    

玉川の魅力を伝える情報コーナーもありますよ。

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ぜひ、一度足を運んでみてください!

店舗の詳細はここへ! → 森のつぐみ

【オクシズコラム⑮】風景を味わう―清沢レモン―

今年も清沢レモンの収穫の季節を迎えました。

地元の交流施設「きよさわ里の駅」に

地域の農家の皆さんが

収穫したばかりのレモンを次々と運び込んできます。

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今年も鮮やかに色づいていますね。

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清流・藁科川沿いの各集落で転々と、

すべて農薬を使わずに栽培しているレモンです。

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オクシズ清沢地区でレモンを栽培しはじめたのは、

平成23年から。

ごくごく最近のことです。

低迷の続く農林業の打開策として、

鳥獣害の少ないとされるレモン栽培を選択してきました。

とはいえ、主に温暖な場所を適地とするレモンです。

山間の集落で栽培するのは、苦労の連続だったことでしょう。

平成26年に500㎏だった収穫量は、

農家の皆さんの知恵と努力で、2tを越えるようになり、

清沢といえば"レモン"!と誇れるほどの

地域を代表する特産物になりました。

清沢レモンといえば、

なんといっても、「特徴的な加工商品の数々」ですよね!

    

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なかでも代表的な商品といえば、「清沢式ぶっかけレモン」!

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唐揚げ、焼き肉、焼き魚・・・

何にでも使える万能調味料です。

この商品を開発したのは、地域に住む若いお母さんたち。

今では市街地のみならず、

県外にも取り扱う店舗が出てきました。

栽培する農家さん、

そしてアイデア豊富なお母さんたちとのタッグで、

地域を代表する特産品となった清沢レモン。

レモンそのものの味も評価されるようになり、

アオイブリューイングの清沢レモンビールや、

市内各居酒屋店の清沢レモンサワーなど

連携する事業者も続々と増えています。

自治会からレモン事業を受け継いだ

明るいお母さんたちの活躍とともに

今後の展開が楽しみな「オクシズ推し!」の商品です。

【オクシズコラム⑭】山里の祈り―野田平の送り神―

「送り神を送れ、送れ送れ送れよ、

 今年の節季はどうするだ、どうにかこうにか送らずよ」

年の瀬の寒空にこだまする「送り神」の唱え事です。

      

静岡市街地から安倍川を30分ほどさかのぼり

賤機都市山村交流センター「安倍ごころ」(葵区牛妻)を

通り過ぎたあたりから

前方の山の中腹に野田平の集落がみえてきます。

    

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野田平は「のたひら」と読みますが、

地元では「のんだいら」とか「のんでーら」

と呼んだほうがなじみ深いようです。

ここ野田平に「送り神」(動画有)と呼ばれる

珍しい民俗行事が伝えられています。

毎年12月14日の夜、村の人々が集まり、

竹と棕櫚(しゅろ)の葉で作った輿(こし)を担いで

村はずれまで練り歩くという行事です。

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「送り神を送れ!」 大きな声で唱えながら、大人も子供も一緒に練り歩く

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手作りの輿(こし)

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最後に輿を村はずれにおさめる

     

輿の中には、馬にまたがった武者の藁人形が

納められています。

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またハナイネといって、洗米を和紙に包み、

身体をなでて穢(けが)れをはらったものも輿の中に納めます。

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送り神という行事は、静岡、長野、愛知一帯で

とくに盛んに伝承されてきました。

子どもたちが、竹笹で家々の軒先をはらい回ったり、

鉦(かね)と太鼓を鳴らしながら藁人形を引いてまわったり

と、祭りの形も地域ごとにさまざま。

野田平では12月14日を祭日としていますが、

他地域では「コト八日」の日に行われるのが一般的です。

    

コト八日とは、

12月8日と2月8日を指しています。

わが国では、この日を特別な祭り日としてきたようで、

とくに厄除けの行事を行う地域が広くみられます。

      

静岡市内の送り神は、

「手作りの輿をこさえ、輿の中に藁人形を納める」

というところに特徴があります。

かつては、オクシズのみならず、

市街地でも盛んに伝承されていたという記録があり、

まさに静岡市を代表する民俗行事の一つでした。

しかし、今も続けているのは

野田平だけとなっています。

      

人々が忘れかけている民俗行事。

野田平では、

その年の厄をはらい、新たな年を迎える行事、

また、地域に暮らす人々の親睦も兼ねた行事として、

今も大切に受け継がれています。

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東京・世田谷で、出張「オクシズ料理教室」を開催しました!

東京都世田谷区にある松陰会館で、

オクシズ在来作物を使った料理教室を開催しました!

オクシズの魅力を世田谷から発信してくれている

Gokigen3とのコラボ企画。

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東京都内のみならず、埼玉や神奈川県からも

定員を超える30名近くの皆さんが

参加してくださいました。

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在来種を使ったこんにゃく作りを中心に

きび飯やカブの浅漬けにも挑戦。

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最後に商品開発中の雑穀クッキーと一緒に

井川の在来茶を味わってもらいました。

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親子連れの参加者が多かったのですが、

子どもさん達にも作りたての

こんにゃくや浅漬けが大好評!

オクシズの素朴な食を

堪能していただけたと思います。

世田谷線松陰神社前駅すぐそばにある

Gokigen3では、

毎週金、土曜日に

オクシズの野菜や加工品を販売しています。

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定期的に料理教室などのイベントも

開催していきます。

ぜひ、ご参加ください!

【オクシズコラム⑬】オクシズにも「来訪神」!?

11月29日、ユネスコが「来訪神-仮面、仮装の神々-」を

世界無形文化遺産に登録することを決めました。

異形の姿をした神々が、正月などその年の折々に

集落や家を訪れ、幸福をもたらす。

登録されたのは秋田県の「なまはげ」や鹿児島県の「トシドン」など

我が国を代表する8県10の「来訪神」です。

    

実はオクシズに伝わる民俗芸能の中にも

「来訪神」ともいうべき演目を伝えるものがあります。

    

まずは、藁科川上流、日向集落に伝わる七草祭

七草祭りは一年のはじめに、稲作の所作を予め演じることで

その年の豊作を願う「田遊び(たあそび)」と呼ばれる

芸能を奉納することで知られています。

    

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この祭りの途中で登場するのが、

「浜行(はまゆき)」「若魚(わかいお)」という

ひょっとこ面をかぶった道化役です。

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ユーモラスに会場内を練り歩き、

山の幸、海の幸をプレゼントして帰るという演出で、

この祭り一番の人気者といえます。

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その場を盛り上げる道化役である一方、

田遊び芸能を奉納する前に、

シオバナでその場を清めるという

重要な役割を担った登場人物でもあるのです。

   

一方、

オクシズの多くの地域で伝承されている「神楽(かぐら)」では、

「大助(おおすけ)」と呼ばれる来訪神が登場します。

    

大助は100歳を超えるおじいさん。

オクシズで神楽を奉納していると聞き、

はるばる伊勢の国から俵いっぱいの土産物を持って

お祝いにかけつけます。

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井川神楽

    

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横沢神楽

    

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清沢神楽(動画有)

     

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有東木神楽(動画有)

     

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梅ヶ島新田神楽(動画有)

     

      

オクシズの神楽は伊勢から伝わったという伝承があり、

大助は、神楽の成り立ちを象徴する役柄

といってもよさそうです。

見せ場は、

大助とともに舞台に登場する恵比寿(えびす)さんや

会場のお客さんとの即興のやりとり。

アドリブを聞かせながら、面白おかしく

土産物を地域の人々に振舞っていきます。

     

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神楽の伝承者の中でも、

とくに芸達者な人が担う演目です。

   

さらに、梅ヶ島新田の初午祭では、

神楽とともにチキドンという門付け芸が披露されます。

    

チキドンと呼ばれる門付け芸もある (1280x853).jpg

    

若者が思い思いの面をつけて、

「チッキ、チキチキ、チキ、ドンドン・・・」という

独特なお囃子を奏でる中、

家々を門付けて巡ります。

   

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チキドンは、子どもたちの人気者。

「なまはげ」など今回世界無形文化遺産に登録された行事と

よく似ていますよね!

ただし、梅ヶ島新田のチキドンは、

若者の舞台芸から生まれた比較的新しい演目のようです。

そうだとしても戦前からやっていたということですから、

すでに70年以上の年月が流れている梅ヶ島の伝統芸。

今ではチキドン見たさに、

よそからも大勢のお客さんが詰めかけるようになりました。

皆さんもぜひ、オクシズ各地の伝統行事、

訪ねてみてください。

各地の行事の開催時期は、

随時このホームページでもお知らせしていきます!